伊葉の

HAIKU WORLD

 

有季定型俳句に親しむ

短夜もあくるけしきは東より

(正岡子規)

のびきつて夏至に逢ふたる葵かな

(正岡子規)

だまされて夜は明やすし絹蒲団

(正岡子規)

塗りかへて暑き色也仁王門

(正岡子規)

夏の日のひえてしたゝる岩間哉

(正岡子規)

プロフィール

河野 伊葉(こうの いよ)

俳誌の代表の先生が高齢でご逝去され

それを機に結社を退会、現在はフリーで

俳句を楽しんでおります。

イラスト:河野伊葉のイラストより

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のどかさや昼は白壁夜は灯

(正岡子規)

永き日の山越えて伊予の城見ゆる

(正岡子規)

影長し春の夕日の大草鞋

(正岡子規)

 

         

草の戸や春ををしみに人のくる

(正岡子規)

すさましや花見戻りの下駄の音

(正岡子規)

 

 

 

一村の梅咲きこぞる二月哉

(正岡子規)

何も書かぬ赤短冊や春浅し

(正岡子規)

鶯の目を細うする余寒かな

(正岡子規)

春寒し風の動かす床の軸

(正岡子規)

小城下や辰の太鼓の冴え返る

(正岡子規)

冴え返る音や霰の十粒程

(正岡子規)

春寒き寒暖計や水仙花

(正岡子規)

 

 

 

 

冬されの厨に赤き蕪かな

(正岡子規)

蝋燭の涙も氷る寒さかな

(正岡子規)

大名は牡丹のお間の寒さ哉

(正岡子規)

旃檀の實ばかりになる寒さ哉

(正岡子規)

初日出てすこし止まりて上るなり

(大峯あきら)

金星の生まれたてなるとんどかな

(大峯あきら)

 

 

朝寒のはらりはらりと根笹かな

(正岡子規)

長き夜の硯にうつるともし哉

(正岡子規)

床の間の達磨にらむや秋のくれ

(正岡子規)

松二本竝んで秋の老にけり

(正岡子規)

青空のここまで降りて菊薫る

(大峯あきら)

きのふより淋しき秋の雨と思ふ

(大峯あきら)

榧の実の降る音高し月の宮

(大峯あきら)

 

 

 

初秋の枕小さき宿屋かな

(正岡子規)

初秋や合歡の葉ごしの流れ星

(正岡子規)

秋高く魯西亞の馬の寒げなり

(正岡子規)

花もなし實もなし枇杷の九月哉

(正岡子規)

 

青空のここまで降りて菊薫る

(大峯あきら)

きのふより淋しき秋の雨と思ふ

(大峯あきら)

榧の実の降る音高し月の宮

(大峯あきら)

 

 

夏の夜やちぎれちぎれの天の川

(正岡子規)

須磨寺に取りつく迄の暑哉

(正岡子規)

すゞしさを足に砕けて須磨の波

(正岡子規)

南瓜の大きくなりし暑かな 

(正岡子規)

塗りかへて暑き色也仁王門 

(正岡子規)

寝かへれば机の下に山涼し

(正岡子規)

朝涼しはらりはらりと萩動く

(正岡子規)

仏間掃き次の間を掃く土用かな

(大峯あきら)

まだ残る大和の畦の二重虹 

(大峯あきら)

盆が来る長き土塀でありにけり

(大峯あきら)

 

 

山を入れ海をひかへて夏景色

(正岡子規)

藤の花末三寸を夏に入る

(正岡子規)

明け易き夜頃を桃のまだ苦し

(正岡子規)

短夜や夜明にとゞく足の先 

(正岡子規)

大水に夏の夜を寝ぬ二階かな

(正岡子規)

竹植ゑて一蝶すぐに絡みけり

(大峯あきら)

紫陽花にきのふの雨のまだ続く

(大峯あきら)

蓮活けてある玄関を上りけり

(大峯あきら)

 

イラスト:河野伊葉のイラストより

 

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 やすやすと青葉になりて夏近   

     (正岡子規) 

 夏立ちし瓶につゝじの花古き   

     (正岡子規)

 散るものは散て気楽な卯月哉   

     (正岡子規)

 ことごとく石に苔もつ五月哉   

  (正岡子規)

 旅僧の病むや五月のかゝり船   

  (正岡子規)

 

 

つちふると小さき机に向ひゐる   

   (大峯あきら)

遅き日のフランス見ゆる峠かな

  (大峯あきら)  

朝日子の押し寄せてゐる牡丹かな  

  (大峯あきら)

 

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大船や波あたゝかに鴎うく

(正岡子規)

古御所や弥生の鴉草に鳴く

(正岡子規)     

あたゝかに白壁ならぶ入江哉

(正岡子規)    

棚の上に日の永さうな小達磨よ

(正岡子規)   

のどかさや煮売屋のぞく旅の人

(正岡子規)

はかりなき事もたらしぬ春の海

(大峯あきら)

山門を入り大椿仏生会

(大峯あきら)

凹みたるところに家や春の山

(大峯あきら)

 

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初雪や水仙の葉のたわむまで

(正岡子規)

年明けて春まだ立たず梅の花

(正岡子規)

庵の春鏡餅より白みけり

(正岡子規)

琴鼓ならべかけたる睦月哉

(正岡子規)

みづうみに四五枚洗ふ障子かな

(大峯あきら)

初空といふ大いなるものの下

(大峯あきら)

冬日落つラインの鷗狂ふとき

(大峯あきら)

 

 

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汽船過ぎて波よる秋の小島かな

(正岡子規)

門閉ちて人起きて居る夜半の秋

(正岡子規)

秋たつや風のなき日を海の音

(正岡子規)

鶴一つ立つたる秋の姿哉

(正岡子規)

あら駒の足落ち着いて秋の立つ

(正岡子規)

秋風やはがねとなりし蜘蛛の糸

(大峯あきら)

逞しき時化の芒となりにけり

(大峯あきら)

みづうみに出ては戻るや稲雀

(大峯あきら)

きのふより淋しき秋の雨と思ふ

(大峯あきら)

秋風のまつすぐに来る門のあり

(大峯あきら)

 

 

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大仏を見つめかねたる暑さかな

(正岡子規)

四方から青みし夏の夜明哉

(正岡子規)

月涼し蛙の声のわきあがる

(正岡子規)

村医者の洋服着たる土用哉

正岡子規)

禅寺に何もなきこそ涼しけれ

(正岡子規)

朝顔や仕事はかどる古机

(大峯あきら)

麦熟れて太平洋の鳴りわたる

(大峯あきら)

 

 

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伊葉の俳句四季

俳句らんだむ