2024年8月
神饌の新米を炊く匂ひかな
大槻一郎
老農は壮健なりて今年米
中野陽典
邯鄲の声を捜して回り道
大河内基夫
奥入瀬の流れの匂ふ秋の風
上原 赫
コスモスのひと色抜けて空に行く
河野伊葉
新米を運ぶ兄いの豆絞り
久下萬眞郎
切り取りて葡萄の重さ手に移る
金納義之
きのうけふ種なし葡萄ばかりとは
大槻一郎
新米の旗立つ店の国訛り
金納義之
八寸や添水の音の垣根越し
久下萬眞郎
友垣の便り途切れぬ秋の風
南後 勝
秋蝉を送りて比叡静まれり
大河内基夫
独り居の高垣を這ふ黒葡萄
南後 勝
持ち寄りの朝の葡萄の重たかり
吉川紀子
廃屋を守りて咲くや秋桜
藤井英之助
不知火や風向き変はる神の海
河野伊葉
宿のいろ深めて秋の気配濃し
鎌田よりこ
4Bの鉛筆の画や秋の山
中野陽典
イラスト:河野伊葉のイラストより
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